My Favorite Things

ただただ好きなものを好きなだけ語っている

美しきものたち

眠る前の散文。

世界に溢れる物語とか、音楽とか、絵とか、その他美しいものたちは星の数ほどあって、それらを目にする度に人間という生き物は基本的にどうしようもないくせに、こんなに素敵なものを創り出すことができてしまうのもまた人間なんだよなということを考えている。

その美しさは無形であり、幻想であり、一時の救いを感じると同時に絶対に届かない絶望もある。人間が人間として生きている限りそこに留めておくことが不可能な一瞬の、あるいは現実には存在しない、そんなものたち。

もちろん明日からの生きる活力のために素敵なものに触れたいという気持ちはあるのだけど、刹那の美しさと届かない苦しさを敢えて味わうための、遠回しな自傷でもあったりする。

人間は案外そういうのが好きなんだろうなと思うし、だから"死後の世界"に途方もなく美しい楽園の存在を信じたりしている。生きている間は届かない世界の、でも正しく生きていればいつか辿り着けるかもしれない場所として。生きていることはしょうもなくて、でも諦めずに美しく生きようとすれば最期にその美しさに手が届くと信じて。