My Favorite Things

ただただ好きなものを好きなだけ語っている

少女☆歌劇 レヴュースタァライト を語る会

私の主観ではあるが、この作品は

「9人の普通の少女達が絆と友情で困難に立ち向かう物語」

 

ではなく

 

「1人の普通じゃない少女が自分の夢のために突き進む物語」×9

 

である。

 

もし「見たことあるけどよくわかんなかった」と思われている人の中で、そういえばビジュアルやキャラデザから「絆と友情」を期待してたかも…と心当たりがある場合は、ぜひ各少女個人個人の物語としてもう一度見てみて欲しい。


とりあえずここまでで少しでも気になった人は、現在2019年GW中、Youtubeにて全話無料公開中なのでまずは見てきて!ください!!!!


舞台版#1も同様に無料公開中。

こちらはアニメより殺伐としてるが、結末はアニメよりも「絆と友情」の物語に寄っているかもしれない。

アニメの声優さんと女優さんが同一かつ歌と殺陣とダンスが人外レベルの人がごろごろ居ます。




さて話を戻しまして


可愛い9人の少女達のデザインや女の子達が戦うというキャッチコピー、さらにブシロードによるコンテンツということで

「なんか女の子達が絆を確かめあって悪とか大きな問題に立ち向かったり、日常を送ったりするやつなんでしょ」

という前提で観てしまうと、色んなところに違和感や腑に落ちない点があると思う。

2話ですぐ打ち解ける二人とか、7-9話のあれがスケールの割に本筋に関わってこないこととか、11-12話でみんなで行かないこととか、キリンとか。


逆に「一人の少女の物語」なら2話は星見純那の物語で彼女が納得し再生産された話となり、7-9話は大場ななの物語、11-12話はひかりと華恋の物語で、それ以上でもそれ以下でもなく綺麗にまとまっている。

そしてキリンは黒幕でも実はいいやつでもなく、徹頭徹尾ただの「観客」でしかない。我々と同じく。


とにかくこの9人は最初から最後まで我が強く、芯が強く、かっこいい。

全12話を通じて成長したり自分を見つめ直したり考え方が柔軟になったりはするものの、根本的な各自の一番大事なものは一切譲らない。


そもそも見た目の可愛らしさとは裏腹に、彼女達は全然「普通の女子高生」ではないのだ。

受かることすら困難な日本で一番と言われる舞台少女の育成校(この学校に合格するだけでローカルテレビ局が取材に来たりするレベル@5話)、その中でも大事な演目のオーディションでメインキャストに選ばれるような、ぶっちぎりのエリート集団だったりする。

感情移入や共感して楽しむ普通の学校生活ではなく、隔絶された知らない世界の女の子達の強い生き方で、だからこそ魅せられるものなのだと思う。

普通の女の子と思っていたら回想シーンで山のようなトロフィーや賞状などが唐突に出てきたりもする。


あと、1話で主人公が寝坊してルームメイトに起こされてるシーン、これだけ見ると遅刻しがちでドジな普通のありがちな主人公に見える。が、時計をよく見るとなんと朝の5時半である。5時半て。

彼女達は寮に住んでいるので学校までは徒歩圏内である。でも5時半に起きる。

そして学校のレッスンルームで先生に全員揃って挨拶しているシーン、時計は6時半。主人公が学級委員長に「こないだ寝坊して最後に来たでしょ」などと言われたりもしているが、いうて朝の6時半ですよ。6時半からクラス全員揃ってレッスンが始まる女子高生ってなんだ。

その上でさらに早朝からランニングをしている子、夕方はレッスンルームの電気をつけないといけない時間まで自主練をする子、夜にレッスンルームにいる子などなど。

「普通の喜び、女の子の楽しみ、全てを焼き尽くし、遥かなキラめきを目指す、それが舞台少女」

の言葉の通りの生き方をしている女の子達の物語であることを鮮明に突きつけてくる。


しかもこれらは虚構の物語かと思いきや、キャストインタビューを読むと割とリアル。

この2.5次元との二層展開がスタァライトの恐ろしいところで、演じているキャストさん達がリアルに現役の舞台女優だったり舞台に立っていたことがあったりするため、物語が物語で終わらず現実性をもって視聴者に展開される。

キャラクターの「普通との隔絶」に背中が冷えつつも惹き付けられたと思ったらら、私たちと同じ世界で生きている現実の人間がキャラクターに感じたのと同じ隔絶を見せてくるとんでもないコンテンツ、それがスタァライトだ。


劇伴もどこか浮世離れしたお洒落な雰囲気のものが多く、端的に言って最高である。レヴュー曲やOPED含めてとにかく音楽と歌詞があまりにも丁寧で美しい。

さらにこの世界観の雰囲気を壊さない絵の美しさもすごい。

舞台上でのライティングがめちゃめちゃな臨場感で動くのでそこも注目ポイント。


とにかく最初から最後まで「美しさ」や「気高さ」の芯が通っていて、かつ「貪欲さ」や「熱さ」の熱量が支配している作品なので、ぜひ最初の前提を頭に入れつつ見て欲しいと思う。